梨状筋(りじょうきん)はお尻の深い所に位置する梨状の形をした筋肉で、※深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)と呼ばれる筋肉の集まりの1つとしても知られています。
また、梨状筋の下には人体で最も太いといわれる坐骨神経(ざこつしんけい)が通っており、お尻から足の指先にかけての不調の原因が梨状筋と関係している場合もあります。
今回は股関節の運動や坐骨神経の不調とも関係する梨状筋について紹介します。
※深層外旋六筋とは上双子筋(じょうそうしきん)・下双子筋(かそうしきん)・外閉鎖筋(がいへいさきん)・内閉鎖筋(ないへいさきん)・大腿方形筋(だいたいほうけいきん)・梨状筋により構成され、股関節の動きに関与しています。
梨状筋の起始と停止
梨状筋は骨盤を構成する3つの骨の1つである仙骨(せんこつ)の内側から大腿骨(だいたいこつ)の大転子(だいてんし)と呼ばれるところにかけて付着しています。
支配神経
梨状筋は仙骨神経叢(せんこつしんけいそう)により運動のコントロールが行われています。
作用
梨状筋は股関節の外旋や外転に作用します。
また、股関節が90度以上に屈曲した状態では股関節の内旋に働きます。
梨状筋が原因でお尻や足に不調が生じることも
坐骨神経が梨状筋により圧迫され、お尻から足にかけ痛みや痺れが生じるものを梨状筋症候群と呼ばれています。
梨状筋症候群の原因は?
梨状筋症候群は梨状筋の柔軟性の低下、スポーツや日常生活などで繰り返し股関節を動かす動作により起こると考えれています。
梨状筋症候群に多い痛みの特徴
梨状筋症候群はお尻に痛みが生じ、梨状筋(仙骨側)を押すと痛みや痺れが増します。
また、梨状筋を緊張させる動きや(股関節の内旋など)、座っている時にお尻の痛みが増加し、立ったり、歩いたりすることで痛みが軽減するなどが梨状筋症候群に多い痛みの特徴として挙げられます。
坐骨神経痛の原因は梨状筋症候群だけではない
坐骨神経痛は梨状筋症候群の他にも腰椎椎間板ヘルニアなど様々な原因により引き起こされます。
これらの原因を調べるには医療機関での画像診断が必要となり、異常が見られない場合に梨状筋症候群の可能性を疑われるようです。
梨状筋のストレッチ
簡単にできる梨状筋のストレッチをご紹介します。
1.イスに座り梨状筋のストレッチをする側の足を対側の膝にのせます。
2.背中が丸くならないように注意し、股関節から体を前に倒していきます。お尻の辺りが伸びてることを確認できたら、その位置で15秒〜30秒を目安にストレッチしてください。
梨状筋の柔軟性の低下は梨状筋症候群や股関節の動きに関与します。
普段、座っていることが多い方や切り返しの多いスポーツ(サッカーやバスケットボールなど)をする方は梨状筋への負担が大きく硬くなりやすい為、セルフケアとしてストレッチをおすすめします。
まとめ
梨状筋はお尻に位置する股関節の外旋の動きに作用する筋肉です。
梨状筋の柔軟性の低下は坐骨神経を圧迫しお尻から足にかけての痛みや痺れの原因なることがあります。
普段から梨状筋のストレッチを取り入れ柔軟性を高めることで、スポーツパフォーマンスの向上や梨状筋症候群の予防につながると考えられます。
参考文献